誰もが発信できる社会となり、世の中には情報があふれています。
中には真偽が定かでない情報や偏った情報、フェイクニュースなどもあり、
メディアの信頼は揺らぎはじめています。
よく読まないで判断する人や思い込みで発信する人を含めた
一般の人たちによって情報は瞬く間に拡散されていきます。
一方で、発信側になる人も増え
「発信について学ぶ場がない」
「団体で広報を頼まれたが、みんな素人で基準がない」
「メディアを始めたがこれでいいのか確信が持てない」
という戸惑いの声もあります。
ローカルメディアコンパスは、1人1人が情報発信の行動指針(=コンパス)を持つためのヒント集であり、仲間との対話のきっかけカードです。
このカードを使い、ぜひ、仲間や身近な人たちと意見を交わしてみてください。
「わたしならこんな時どうするのか」。あなたのコンパスを見つけてください。
制作の経緯
横浜市青葉区を拠点にするNPO法人森ノオトは、地球環境問題をローカルな暮らし目線で変えていこうと、2009年にウェブメディア「森ノオト」を創刊しました。以来、約100人の市民ライターを育成し、現在は41人の主に子育て世代の女性たちがライターとして地域で活躍しています。
2017年度からは「情報発信は地域をよくするためにおこなう」をモットーに、市民ライターの育成や市民団体の発信力UPのための講座事業、情報発信者の自主的な学びと交流の場「ローカルメディアミーティング」を実施(神奈川県基金21ボランタリー活動補助事業)。参加者の声から、多くの人たちが情報発信の基準について迷いを抱いていることを知りました。
「人を傷つける表現ってなんだろう」「間違った情報を伝えないためにどこにどう確認をするのか」「取材先からクレームが来たらどうするか」「情報の出典先を明らかにさえしたら、パクリにはならないのか」「情報を一面で切り取ることの意義と危険性」……。
地域の情報発信は、研修もなくいきなり始めるケースが多々あります。ホームページやSNSなどの発信ツールは持っていて、伝えたいことがあっても、どのようにしたらターゲットに届くのかがわからない中で活動をしている方も少なくありません。
誰もが「メディア」になれる今、基本的な技術や良識だけでなく、刻々と変化する情報社会のなかで行動指針を持つことの必要性を感じ、私たちは2018年から「ローカルメディアコンパス」の制作に向けてメディア関係者の体験談や失敗談を集めてきました。
カードには、主に横浜市内のウェブメディアやタウン誌、 テレビ・ラジオ関係者など、森ノオトメンバーを含む計14名のエピソードが掲載されています。メディアの立場に立って考えることで、既存のメディア関係者だけでなく、これからローカルメディアに携わろうとする人、地域活動や広報を担う人、ひいては情報の受け取り手である地域住民の皆さんに、「メディアリテラシー」(情報を主体的に読み解き、行動する)を育むためのツールとして役立ててほしいと考えています。
カード内容
ローカルメディアコンパスのパッケージには、1枚1枚デザインされた49枚のカードと6枚の白紙カード、説明書が入っています。
カードはメディアの経験度によって、下記4種類に分類。
J ローカルメディアは楽しい編[JOY]
E 現場対応 最初の一歩編[ENTRY]
B 現場対応 経験者編[BASIC]
A デスク・メディア運営編[ADVANCE]
集まるメンバーのレベルに応じて、複数のシナリオから選んでワークショップを行うことができます。
制作メンバー
- 船本由佳
大学卒業後、岡山県内のケーブルテレビ局に就職。その後、NHK広島放送局のキャスターになり、大阪放送局、横浜放送局と移動しながら、11年間NHKのキャスターを勤める。出産を機に退職し、横浜の子育て情報紙などローカルメディアのライターとして、また、まちづくりの主体者として横浜で活動。2018年よりKosha33ライフデザインラボ所長。
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北原まどか
大学時代に「個人の人生に社会や歴史が凝縮している!」とライフヒストリー取材に目覚め、以降、マスメディアとは真逆のスタンスでローカルメディアの道へ。タウン紙記者から雑誌編集、環境メディアの特集記者まで多様な経験を積み、2009年の長女出産を機にローカルメディア「森ノオト」を創刊。2013年1月にNPO法人を設立、理事長に。
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齊藤真菜
英大学でデジタル放送メディア学科を修了後、ネットメディア「ヨコハマ経済新聞」編集部を経てフリーライターに。横浜市中区や西区の文化拠点を仕事場にしながら、地域の経営者やアート関係者のインタビュー、まちづくりに関する特集などを手がける。藤棚商店街のシェアカフェ「藤棚デパートメント」内で間借り本屋「Arcade Books」を営業。